【ゲームレビュー】Ghost of Tsushimaは最高の侍ゲーム
「Infamous」シリーズなどの開発で知られるサッカーパンチプロダクションズが贈る至高の侍ゲーム「Ghost Of Tsushima」のレビューを書いてみようと思います。
ちなみにスタジオ名を僕は完全にSoccer Punchと勘違いしていましたが...
正しくは”Soccer”ではなく“Sucker”です。
日本語に訳すと、”不意打ち”とかそういう意味のようです。
Bump Of Chikenみたいでかっこいいなと思いました。
さてこのゲームをプレイする前は
「外国の人が侍ゲー作ったらしいけど、本当の”侍”って奴を知ってんのか?アジア人が刀持ってたら”侍”ってわけじゃねえぞ」
といった具合に天空目線でこのゲームを見ていましたが、
いざプレイしてみると、そんなことは杞憂に過ぎないとすぐに気づきました。
それは史実通りに当時の侍を再現している!とか、そういうことではなくて
「みんなが見たい侍を見せる」
ということを本作が完全に全うしているからだと思うんですよね。
「そうそうおれはこういう侍が好きなんだよ!」と思わずうなずきたくなるようゲームになっています。
また世界観づくり以外にもゲームプレイやシステムがともかくユーザー目線の作りにな
っていて、「遊びやすさ」という点においては、歴代のオープンワールドゲームの中でも最高傑作だと感じました。
マジで日本ではこんな侍ゲーム絶対に出せなかったと思うので、
サッカーパンチプロダクションズさんまじでサンキューな
とはいえ、少し冷静になってゲーム全体をみると完成度は無茶苦茶高いのですが、
サイドクエストや細かい部分に問題を抱えていることは否めません。
そういうわけでいくつかの要素に分けてゲームプレイをレビューしていこうと思います。
グラフィック
グラフィックは同世代のPS4ゲームの中でもかなり綺麗な部類だと思います。
遠景も現実の風景のようにきれいに描写されるので、ついつい高いところに上っていい感じの写真を撮りたくなってしまいます。
素人の僕がなんとなくとったスクリーンショットですら、ちょっといい感じに見えてしまう始末
ここで特筆したいのははィールドの色彩表現が色鮮やかなことです。
草原の緑や紅葉の赤、アジサイの紫といった美しく様々な色合いの風景を楽しむことができます。
日本には四季があるから(震え)というネットミームがありますが、
「そうだ京都へいこう」で描写される、これぞ”美しい日本の四季”というものを完全に再現してるわけです。
もちろん、現実的に考えると季節感がおかしいとか突っ込むのは簡単なのですが、
このゲームのいいところは現実的なことはなるべく無視しているところなんですよね。
見たいものを見せるが徹底しているんです。
こいつら日本人の喜ぶ日本描写を心得ていやがる…
と思わず舌を巻いてしまいました。
グラフィックで唯一欠点と感じるのは、フェイスキャプチャによる顔の表現が薄く感じるところでしょうか。
特に最近ラストオブアス2をプレイした身からすると若干見劣りしてしまうのは否めません
とはいえ一本道のゲームとオープンワールドゲームを比べるのは少し酷なよう気もしすね。
ゲームプレイ
多くのオープンワールドゲームと同じく、マップに表示されるクエスト(ミッション)を進めることでゲームが進行します。
前評判で結構簡単だという話は聞いていたので僕は最高難易度のハードで始めました。*1
ハードでも中盤以降はかなり簡単になるイメージなのでゲームに慣れている方はハードでプレイする方が適度に歯ごたえのある戦闘を楽しめると思います
・オープンワールドとロード、インタラクションの速さ
本作の大好きなところの一つですが、オープンワールドの広さがちょうど良いんですよね。
もちろん個人差がある部分だと思いますが、僕はオープンワールドの移動が基本的にそこまで好きではないので、本作では移動時間もそこまで長くなく、移動手段である馬とのインタラクションもスムーズで、ついついサイドクエストを回ってしまい、止め時が見つからなくなるような移動の快適さがありました。
特にファストトラベルのロードの速さには驚きました。
オープンワールドゲームにもかかわらず、ものの数秒でロードが終わるのです。
PS4世代のオープンワールドゲームとしては最高の速さではないでしょうか。
実は開発期間中のロードはもっと速かったらしいのですが、あまりにも速すぎてロード画面中のヒントを読むことができないので製品版では意図的にロードの速度を落としたようです。
なんなんだよ、そのエピソード...(困惑)
https://automaton-media.com/articles/newsjp/20200718-130952/
こういったところからもいかに遊びやすさを追求したかゲームかがわかりますね。
・戦闘システム
戦闘面はハイリスクハイリターンな戦闘になっており、基本的にどれだけ強くなっても数回攻撃されたら瀕死になります。
というと、ものすごく難しく感じるかもしれませんが、相手の攻撃をタイミングよくガードすると有利になるシステムが採用されており、タイミングも若干ゆるいので、たとえハードモードで敵に囲まれても連続して敵の攻撃をはじくことさえできれば、バッサバッサと斬り倒すことができ、まさに時代劇の中の侍のように爽快感溢れる殺陣を演じることができます。
sharehttps://t.co/8dMxf6zUKE pic.twitter.com/xGWt4JyXAX
— gazou (@gazou31450127) 2020年8月10日
特別なクエストなどで戦える敵相手には戦闘画面が切り替わり、
決闘をすることができ、この1対1の駆け引きは細かい演出も含め最高です。
最後にカッコよく相手の攻撃をはじいてとどめを刺すと
「あれ?俺映画みてたっけ?」
とおもうぐらいカッコよくキメてくれます。
一方、もう一つの戦闘システムとしてはアサシンや忍者のように、敵の後ろから忍び寄って一撃で倒すことができます。
ゲームが進行すると、毒殺したり、煙幕を巻いたり、敵に薬をもって同士討ちさせたりといった侍らしからぬダーティなプレイをすることもできます。
ただ暗殺プレイや弓矢に関しては、あまりにノーリスクで強すぎるので装備やスキルが揃い始める中盤以降になると、たとえハードモードでも積極的に使用すると一気に簡単になってしまいます。
このゲームは正々堂々戦うことの難しさがストーリーの主題ともなっているゲームなので、ゲームの方向性としてはダーティなプレイの方が強いというバランスは理にかなっていると言えますが、それがゲームとしての面白さに直結しているとは思えませんでした。
・街・NPC・サイドクエストについて
ここは明確な欠点と言えると思います。
多くのオープンワールドゲームの見どころと言えば「街」ですが、
本作ではクエストに関係のないNPCに話しかけたりすることができないので、基本的に町に行くのは「鍛冶屋」「道具屋」などといったショップに立ち寄るのが目的となっているので、本作では街に立ち寄る楽しみは特にありません。
また前項でロードやインタラクションが速いのでサイドクエストが遊びやすいというメリットを上げました。
たしかにこのメリットは半端じゃなく、思わずあまりサイドクエストをやらない僕がコンプしてしまうほどでした。
クエストのシナリオ自体はいろいろな工夫を凝らしており、面白いと感じるものもありました。
例えば、メインキャラクターのクエストはどれもしっかりとシナリオが作られています。石川先生をはじめ、愛すべき?キャラクターたちがシナリオを彩っているので飽きることなく最後までプレイできました。
また、傳承(伝承)クエストと呼ばれる特別なクエストでは、絵や情報を手掛かりに隠されたロケーションを探したり、侍と決闘したりといろいろな遊びができるので、そのクエストはとても楽しむことができました。
しかし、それ以外のクエストは基本的にシナリオも平凡なうえ、ゲームプレイが血痕や足跡を辿っていくとなんだかんだ戦闘になっておしまいというパターンがほとんどだったので途中で若干飽きてしまうのは否めませんでした。
ストーリー(ネタバレあり)
この項に関してはネタバレをふんだんに含むので注意です。
プレイする前は侍をオープンワールドでプレイできるだけで充分だったので、特に期待はしていなかったのですが、このゲームが力を入れてるのはストーリーの方なんですよね。
ストーリーに関しては本当に激熱なのでぜひプレイしていない方は、ブラウザバック推奨です。
本作は元寇をテーマに ストーリーを作っており
史実であるならば、数万を超える蒙古軍が対馬の小茂田浜に上陸。
80余名の武士が大群に挑み、全員が討ち死にしたということになっていますが、本作ではたった1人の侍が生き残ることから物語が始まります。
その一人が主人公である「境井 仁」です。
どんなストーリーかを説明すると冗長になってしまうのでかい摘みますが
実はこのゲーム、蒙古軍を追い出して「はいハッピーエンド」では終わらないんですね。
何故かというとストーリーが描きたかったのは、
「対馬に残ったラストサムライが蒙古軍を撃退して対馬を取り戻しました」
という話ではなく、
「侍とはなんぞや?」「誇りとは誉れとは何ぞや?」ということを問うものだったからです。
このゲームには重要なメインキャラクターとして、主人公の育ての親であり、対馬の地頭でもある「志村」というキャラクターが登場します。
このキャラクターは現代も含め主人公の回想にも登場するのですが、ゲーム中何度も「誉れ」という言葉を口にします。
つまり、どんな状況でも正々堂々と武士らしく戦いなさいと主人公に何度も語り掛けるのです。
最初、主人公はその教えを全うしようと戦うのですが、だんだんとその戦い方では勝てないということに気づきます。
何せ敵は蒙古軍。
地球の歴史上もっとも版図を広げた軍事国家でもあります。
数で負けているのはもちろんのこと、彼らに「誉れ」なんて文化はありません。
ただひたすら戦争に勝利するためにできることを容赦なく行います。
彼らに勝つために境井仁は侍の戦い方を捨て、暗殺やクナイのような暗器を使い蒙古に立ち向かうようになります
本作では、侍としての誇りを取るのか、それとも人々を守るため侍の価値観に反した戦い、つまり冥人(くろうど)の戦いを選ぶのか、そのジレンマが主題となっているのです。
そして、境井仁は冥人としての戦い方を選びます。
すべては対馬の民を守るために、たとえ育ての父と離別することとなったとしても…
というお話なわけです。
もうこの時点でくそ熱物語が始まるのは確定なわけですが、特に僕は最後のシーンが大好きでした。
※以下致命的なネタバレにつき注意
冥人としての道を選んだ境井仁と志村との決別は決定的なモノとなり、蒙古軍を討ち果たした後決闘することとなります。
そして決闘に勝利すると、志村は誉れある死を望みます。つまり殺せというのです。
ここでプレイヤーは志村を殺すか・生かすかという究極の二択を迫られることになります。
僕は生かす方を選びました。
なぜかって、もう誉れなんてないんですよこの境井仁とかいうオッサンには。
侍というしがらみを抜け、彼は対馬を守る亡霊(タイトル回収)になったのです。
だとすれば誉れおじさんに従う必要もないんです。
「誉れはなくしても、わが父は斬れません」
そういって刃を収めるのでした...
ハイ最高。
余談(いちゃもん)
タイトル通りこれは僕の完全ないちゃもんなのですが、
このゲームの途中とEDの二か所で挿入歌が入ります。
The Way Of The Ghost (feat. Clare Uchima)
The Way of the Ghost (feat. Clare Uchima) | Ghost of Tsushima OST
いや、この曲ダサすぎねえか?という話です。
我らの大地取り戻せえ...
じゃねえよ!
こちとら
「愛しています」→「月がきれいですね」の国なんですわ!
さざれ石が巌となって苔の生すまでなんですわ!
この曲は君が代ってよりラマルセイエーズの世界観なんですわ!
ここまで日本らしさという部分にこだわりにこだわっていたのに、この曲だけは本当に残念だなとおもってしまいました。
シリアスなシーンで流れるのにちょっと笑っちゃうんですよ、これが流れるせいで。
許さんぞ作詞者!
ああ、ムカつくなあ、こうなったら本作に出てくる一番かわいいキャラで和むしかねえ!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
すみません、唐突に終わります。読んでくださりありがとうございました。
このゲームはガチで良ゲーなんでやってない人は買いましょう。
ありがとうSucker punch あんたら最高だよ。
*1:最新アプデで万死という難易度が追加されました